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円高・円安が投資信託へ与える影響は?

2022年は世界的なインフレ対策として各国の中央銀行が相次ぐ利上げを行いました。その間、日本の金融政策に大きな変更はなかったため金利差が拡大し、2022年の年初に1米ドル110円台だった為替レートが、一時150円台まで円安に動きました。

現在は、130円前後まで円高に戻していますが、このような円高・円安は投資信託の値段にどのような影響があるのでしょうか。本コラムでは為替リスクヘッジを行わない投資信託について解説いたします。

そもそも円高・円安とは?

銀行や外貨の両替所に行くと、日本円を外貨(外国通貨)に交換することができますが、その時の交換比率のことを為替レートと言います。例えば、1ドル100円の場合、日本円1万円を持っていくと100ドルに交換してもらうことができます(手数料等は除く)。

ここで、もし1ドル200円になるとどうなるでしょうか?同じ1万円を持っていくと、今度は50ドルにしか交換できません。つまり、1ドル100円から200円に為替レートが変化すると、円の価値(値打ち)が半分になってしまうわけです。このように円の価値が下がってしまうことを円安、逆に円の価値が上がることを円高と呼んでいます。

1ドル100円から200円になると、見た目の数字が2倍になるので高くなるような印象がありますが、実際には1ドルを購入するために必要となる日本円が2倍必要になってしまう、つまり円の価値が低下してしまう、ということで円安(ドル高)と呼ぶことに注意してください。

円高・円安になると投資信託の値段はどうなる?

では、このような円高・円安といった為替レートの動きは投資信託の値段(基準価額)にどのような影響があるのでしょうか。

投資信託の中には、外国株式や外国債券、外国REIT(不動産投資信託)など、さまざまな外貨建ての資産に投資しているものも多いですが、まずはシンプルな例として米国株式の例を考えてみましょう。

ある米国株式の株価が1株100ドル、ドル円の為替レートが1ドル100円だったとします。すると、この米国株式の円建て評価額は次のように表現することができます。

米国株式の円建て評価額=米国株式のドル建て株価 × 為替レート
=100ドル/株 × 100円/ドル
=10,000円/株

この式を見ていただくとわかると思いますが、株価が変化しなかったとしても、為替レートが動けば、円建て評価額は上がったり、下がったりすることになります。

ここで、ドル建て株価や、為替レートが変動したら、米国株式の円建て評価額はどのように変化するでしょうか。株価が0%、±20%変化した場合(合計3パターン)、そしてそのぞれぞれの場合に応じて為替レートが0%、±5%変化した場合(合計3パターン)の合計9パターンについて、円建て評価額がどのように変化するか図にしてみると次のようになります。

ドル建て株価や為替レートが変動した場合、米国株式の円建て評価はどのように変化するでしょうか。株価が上下に20%変動し為替が上下5%変動する場合のそれぞれのパターンは1ドル100円で10000円の評価でスタートすると7600円から12600円までの幅となります

左側の青色部分が、ドル建て株価の変化を示しています。為替レートは変わらないものとして、株価が±20%変化すると、ドル建て株価は120ドルもしくは80ドルになります(0%の場合は、変わらず100ドル)。

この3つの場合に応じて、為替レートが1ドル100円から、105円、100円、95円に変動すると(図中右側の緑色部分)、ドル建て株価を円建てに換算した円建て評価額になります。株価が変化しなくても、為替が変化するだけで円建て評価は変化することになります。

外国株式などの外貨建て資産を対象とする投資信託の場合、米ドルに限らず、ユーロ、英ポンド、オーストラリアドルなど、さまざまな通貨建ての資産に投資している場合があります。現地通貨建ての証券価格(株価や債券価格など)の動きと、日本円と現地通貨の為替レートの組み合わせによって、投資信託の値段(基準価額)は、上の図の赤字の部分のようなイメージで変化することになります。

証券価格が上がったり、円安になると基準価額は上昇、証券価格が下がったり、円高になると基準価額は下落するわけです。

為替レートと株価の関係

ここまでは為替レートと株価の動きがお互いに関係ないものとして考えてきましたが、実際には企業によっては為替レートが直接的に株価に影響することもあります。典型的なのは輸入や輸出を行っている企業の場合です。

米国企業で日本から輸入して米国で販売しているビジネスを行っている場合、円安になると同じ1ドルで購入できる商品の数が増えますので、仕入れコストが下がり利益が増えることになります。逆に円高になると、仕入れコストが上がりますので、利益が減少します。このような輸入企業の場合、為替レートの動きがその企業の利益に直結しますので、株価への影響が大きくなります。なお、輸出ビジネスをしている場合は逆の動きとなります。

最後に

投資信託の値段(基準価額)は円建てで、(1万口あたり)15,000円などと表示されるため、外国資産に投資している投資信託であっても、円建て資産であるかのように勘違いされている方もいらっしゃるようです。

基準価額の表示は確かに円建てになっていますが、実際には上でご説明したように、その時点の為替レートを使って円建てに換算しているだけですので、資産の中身は外国資産(外貨建て資産)になっています。外国資産に投資している投資信託の場合、円高・円安がこのような影響を持っていることをぜひ理解しておいていただければと思います。

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  • 株式会社ウェルスペント 代表取締役

    横田 健一

    東京大学理学部物理学科卒業。同大学院修士課程修了。
    マンチェスター・ビジネススクール経営学修士(MBA)。

    ファイナンシャルプランナー。大手証券会社にてデリバティブ商品の開発やトレーディング、フィンテックの企画・調査などを経験後、2018年1月に独立。「フツーの人にフツーの資産形成を!」というコンセプトで情報サイト「資産形成ハンドブック」を運営。家計相談やライフプラン・シミュレーションの提供を行い、個人の資産形成をサポートしている。

    資産形成ハンドブック:https://shisankeisei.jp/
    YouTubeチャンネル : 「資産形成ハンドブック」チャンネル
    著書: 新しいNISA かんたん最強のお金づくり

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