年金手帳が令和4年4月に新規発行停止へ、代わって交付される基礎年金番号通知書とは?
公的年金の加入記録を管理するために重要な基礎年金番号などが記載されている年金手帳は令和4年4月に新規発行が停止されます。今回は年金手帳が発行停止される背景と、年金手帳に代わって発行される基礎年金番号通知書についてご説明いたします。
そもそも年金手帳とは?
お手元にある方もいれば、お勤め先に預けてある方もいるかと思いますが、年金手帳は次のように3種類あります。
年金手帳の種類(日本年金機構のホームページより)
国民年金に加入した時期(被保険者資格の取得手続きを行った時期)によって異なり、
- 昭和35年10月 ~ 昭和49年10月に手続きをおこなった方は写真左の茶色(水色、薄橙色などの場合も)の手帳
- 昭和49年11月 ~ 平成8年12月に手続きをおこなった方は写真中央のオレンジ色の手帳
- 平成9年1月以降に手続きをおこなった方には写真右の青色の手帳
がそれぞれ発行されています。
年金手帳の中には、氏名、性別、生年月日に加えて、基礎年金番号や発行年月日などが記載されており、公的年金の加入記録を管理する上で非常に重要な情報が記載されています。
令和4年4月に年金手帳の新規発行が停止されるのはなぜ?
2020年6月5日に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が公布され、被用者保険の適用拡大、在職定時改定の導入、受給開始時期の選択肢の拡大、確定拠出年金の加入可能要件の見直しなどが盛り込まれました。そして、「その他」として年金手帳から基礎年金番号通知書への切替えも含まれており、令和4年4月1日以降は年金手帳の新規発行が停止され、基礎年金番号通知書の送付に切り替えられることになったのです。
年金手帳は、これまで①保険料納付の領収の証明、②基礎年金番号の本人通知という2つの役割を果たしてきましたが、被保険者についての情報がシステムで管理されるようになったこと、そして個人番号(マイナンバー)が導入されたことで、手帳という形式である必要性が低下してきたのです。
さらに、かつては様々な行政手続きにおいて年金手帳の添付が求められていたのですが、現在は手続きの簡素化と利便性向上を推進する観点から、年金手帳でなくても「基礎年金番号を明らかにする書類」で手続きが可能になってきています。
このような時代の変化により、業務の簡素化と効率化等を進めるため、年金手帳の手帳という形式と役割が見直されることになったのです。
令和4年4月以降に発行される基礎年金番号通知書とは?
令和4年4月以降に20歳に到達した方や、20歳前でも厚生年金被保険者となった方など、新たに国民年金第1~3号被保険者となった方に対しては、資格取得のお知らせとして基礎年金番号通知書が送付されることになります。
新たな「基礎年金番号通知書」の様式については、
- 年金制度の象徴となるようなシンボリックなもの(色つきの上質紙など)とすること
- 手元に丁重に保管してもらうため、名称を「基礎年金番号通知書」とし大臣印の印影を入れること
- 現在、共済年金加入者に送付している「基礎年金番号通知書」との統一を行うこと
といったイメージで検討された結果、以下の様式になることが公表されています。これまでの手帳サイズとは異なり、カードサイズのコンパクトなものとなっています。
令和4年4月1日以降に発行される基礎年金番号通知書の様式(日本年金機構のホームページより)
令和4年4月以降に年金手帳の新規発行は停止されますが、すでに発行されている年金手帳が無効になるわけではなく、基礎年金番号を明らかにすることができる書類として引き続き利用することが可能です。これまで同様、引き続き大切に保管しておきましょう。
なお、令和4年4月以降に、すでに年金手帳が発行されている方が年金手帳を紛失・き損した場合には、年金手帳が再発行される代わりに、新たな基礎年金番号通知書が発行されるようになります。
最後に
今回は令和4年4月に新規発行が停止される年金手帳と、今後新たに発行される基礎年金番号通知書についてご説明しました。
一言で言ってしまえば、時代の変化ということで、年金手帳の手帳としての役割は終えるわけですが、機能としては形を変えて残っていくことになります。
年金手帳にしろ、基礎年金番号通知書にしろ、いずれも公的年金の記録としてとても重要な書類です。ぜひとも大切に保管していただければと思います。