NISAとiDeCo
NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用すると節税効果で投資効率が良くなります。節税効果が大きい制度のため始めるべきか悩む方も多いと思います。今回はNISAとiDeCo(イデコ)の2つの制度の違いや特徴、メリット・デメリットについて解説していきます。
1:NISAとiDeCoの違いは?
NISAは、株式や投資信託などの運用益や配当金などが非課税になる制度のことです。
iDeCoは、自分で毎月掛金を払い、将来の年金を作る制度になります。iDeCoとNISAは以下の様な基本的な仕組みの違いがあります。
NISA | iDeCo | |
---|---|---|
運用商品 | 株式、投資信託、ETFなど | 投資信託、定期預金、保険商品 |
商品の購入方法 | 都度 | 毎月積み立て |
目的 | 住宅購入、教育資金など自由 | 将来の年金 |
始められる金額は?いつまで運用できるの?
NISAは最低運用金額が無く、年間上限120万円までなら非課税で運用ができます。最長保有期間は5年ですので、毎年120万円ずつ投資を行えば最大600万円まで非課税で運用ができます。但し、その年に非課税枠の未使用分があっても翌年に繰り越すことはできません。
iDeCoは、月々5,000円から1,000円単位で掛金の設定ができます。毎月の掛金の上限は職業などにより月々1万2,000円~6万8,000円(年間14万4,000円~81万6,000円)で、金額は年1回変更することができます。運用期間は60歳までになります。
NISA | iDeCo | |
---|---|---|
最低運用金額 | なし | 毎月5,000円 |
年間運用額の上限 | 120万円 | 14万4,000円~81万6,000円 |
累計運用額の上限 | 600万円 | 上限なし |
運用可能期間 | 最大5年 | 60歳まで |
運用・拠出資金の引き出しは自由にできる?
NISAはいつでも運用中の金融商品を売却して証券会社の口座などから出金できますが、iDeCoは60歳以降の受給年齢に到達するまで資金の引き出しはできません。またiDeCoは掛金の積み立てを停止したり再開したりすることはできますが、出金は特別な事情以外は認められていません。
NISA | iDeCo | |
---|---|---|
引き出し | いつでも | 60歳まで不可 受け取り方は、年金・一時金・年金と一時金の併用の3種類 |
税の優遇対象になるのは?
NISAは、金融商品の運用益に対する20.315%の税金が非課税になります。iDeCoは拠出時の掛金、老齢給付金の受取時に税制優遇の対象になり、またNISAと同じく金融商品の運用益に対する20.315%の税金も非課税になります。
タイミング | NISA | iDeCo | |
---|---|---|---|
税優遇 | 拠出・投資 | – | 全額所得控除 |
運用時 | 商品の運用益が非課税 | 商品の運用益が非課税 | |
受取時 | – | 退職所得控除、公的年金控除 |
2:老後資金を積み立てるならiDeCo
「老後資金2,000万円問題」というニュースが話題になりましたが、iDeCoは、国民年金や厚生年金などの確定給付年金とは異なり、自分で運用して年金資産を作る制度です。企業年金とは異なり拠出を開始した時点で受給権がもらえ、自分で掛金を設定できるため資金計画が立てやすく老後の資金準備にぴったりです。
iDeCoの特徴
iDeCoの大きな特徴は、なんといっても拠出額が所得控除されることにより、節税をしながら年金資産を作れることです。自分で毎月の掛金を設定し、商品を決めて運用するため、どのようなスタイルで資産形成をしたいのかを学びながら運用をしていくことが重要になってきますね。
iDeCoのメリット・デメリット
iDeCoのメリットは3つの節税ポイントになります。1つ目は掛金が全額所得控除の対象となり所得税と住民税の節税となること。2つ目は元本確保型商品(定期預金、保険商品)や投資信託の運用益に対する20.315%の税金が非課税になり、受け取る年金がその分多くなること。3つ目は受取時に「退職所得控除」「公的年金等控除」の対象になることです。運用した資産は「一時金」「年金」「一時金と年金の両方」の3つのいずれかの形式で受け取ることになりますが、一時金として受け取る場合は「退職所得控除」が、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」が受けられます。
iDeCoのデメリットは、60歳まで原則引き出すことができないことや、手数料がかかることです。特に手数料は加入時の手数料、加入後は積み立ての設定・停止に関わらず毎月口座管理手数料が発生しますが、これは運営管理機関によって異なります。手数料を抑えるためにはどこの運営管理機関で加入するかが重要なポイントになってきます。また勤め先の企業が企業型確定拠出年金(企業型DC)を導入している場合、一定の条件を満たしていなければiDeCoの加入はできません。企業型DCとiDeCoの併用を考えている方は、勤め先へ確認すると良いでしょう。
iDeCoの金融機関を選ぶポイント
iDeCoの口座は1人につき1つの金融機関に1口座ですので、しっかりと調べて選びたいものです。選び方のポイントですが、口座管理手数料、金融商品のラインナップ、サービス・サポートの充実さで比較すると良いでしょう。インターネットで比較サイトを見るのも役に立つと思います。
本ページでは参考としてauのiDeCoをご紹介します。
auのiDeCoの特徴は何といってもauの通信契約があってもなくても運用残高に応じて毎月Pontaポイントがもらえることです。また運営管理手数料は0円、初心者でもカンタンに資産運用ができる専用のスマホアプリも用意しています。気になった方はチェックしてみるのは如何でしょうか。
3:60歳前に資金が必要な場合はNISA
NISAは1年間の非課税枠が大きく、株式などの個別銘柄にも対応しているため、株価の上昇による売買益を効率的に確保したい人や、高配当銘柄の運用にも向いてます。出金も自由にできるため資金が必要になった場合でも安心です。
NISAには運用期間や年間運用上限額、運用対象商品によりNISA(以後「一般NISA」と呼ぶ)とつみたてNISAの2つに分かれます。ではこの一般NISAとつみたてNISAは何が異なるのでしょう。
一般NISA・つみたてNISAの特徴
一般NISAは、非課税枠の上限は年間120万円、最長5年間で600万円分の運用ができます。また5年間の非課税期間が終了しても「ロールオーバー」の手続きによりさらに5年間非課税で保有することができます。但し、ロールオーバーを行った場合は、その金額分だけ翌年の非課税枠で運用できる金額は少なくなります。
一方、つみたてNISA非課税枠の上限は年間40万円、最長20年で800万円分の運用ができます。一般NISAと異なり「ロールオーバー」の手続きは利用できません。また運用商品は投資信託およびETF、購入方法は積み立てに限定されます。
運用利益にかかる税金20.315%が非課税となることは、一般NISAとつみたてNISA共通の特徴となります。
一般NISA・つみたてNISAのメリット・デメリット
一般NISAのメリットは対象商品が幅広く、年間投資額上限が120万円と高いことです。つみたてNISAは、投資信託の販売手数料は0円、信託報酬(保有時の手数料)は金融庁が定めた一定水準以下と決められているため節税とコストダウンの両方にメリットがあります。また一般NISAとつみたてNISAは共に出金が自由に行える点もメリットです。
デメリットは、NISA口座で購入した運用商品が値下がりしている時に非課税期間が終了し証券口座に移されると、その値下がりした金額で購入したと同じ扱いになることです。例えば、NISA口座で購入した株式50万円が30万円まで値下がりし、その運用商品が証券口座へ移されると30万円で購入したことになりますので、移管後に50万円まで値を戻しても、20万円の利益とみなされ課税対象になります。またNISA口座で購入した運用商品が値下がりした時に売却した場合は、証券口座との損益を相殺することはできず、デメリットも出てきます。さらに一般NISAとつみたてNISA口座はどちらか一方を選択する必要があります。一般NISAとつみたてNISAを変更するには年単位となりますので、注意して選びましょう。
4:iDeCoとNISAの併用もおすすめ
iDeCoとNISAの特徴を踏まえて併用するとさらに大きな節税効果が得られます。例えば一般NISAとiDeCoを併用すると株式等の売買益、配当金、分配金等の非課税だけでなくiDeCoの掛金が全額所得控除となります。また、つみたてNISAとiDeCoを併用すると投資信託やETFの運用益に対する非課税とiDeCoの掛金が全額所得控除になり、手数料の低いつみたてNISAの対象商品で効率良く運用することができます。
NISAとiDeCoの概要
一般NISA | つみたてNISA | iDeCo | |
---|---|---|---|
運用期間 | 5年(最長10年) | 20年間 | 加入から60歳まで(10年間延長可能) |
運用商品 | 株式・投資信託・REIT・ETFなど | 限定された投資信託とETF | 定期預金・保険・投資信託 |
投資限度額 | 年間120万円、最大600万円 | 年間40万円、最大800万円 | 公的年金や企業年金等の加入状況によって異なる 年額 14万4,000円~81万6,000円 |
換金 | いつでも換金可能 | いつでも換金可能 | 60歳まで原則換金不可 |
節税効果 | 売買益・配当金・分配金などの投資で得た利益にかかる税金20.315%が非課税になる | 運用で得た利益が非課税になる。 | ・掛金を全額所得控除にできる(所得税、住民税) ・運用で得た利益が非課税 ・年金を受け取るときに一括受取は退職所得控除、分割受取は公的年金等の控除の対象になる |
5:まとめ
NISAとiDeCoにはそれぞれ非課税と控除のメリットがあり、併用することでさらに効率良い運用が実現できます。
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