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確定拠出年金、加入者はどんな商品で運用しているのか? – 預貯金・保険の比率が低下する一方、株式を含む投資信託の比率が上昇中!

老後資金作りを目的とした私的年金制度の1つである確定拠出年金の加入者数は増え続けています。企業単位で導入される企業型、個人単位で加入する個人型(iDeCo)に分かれますが、加入している人はどのような商品を選んで運用しているのでしょうか。

今回は、2024年1月に公表された確定拠出年金統計資料(データは2023年3月末。外部サイトに遷移します。)を参考にしながら、企業型、個人型のそれぞれの確定拠出年金について、加入者数や資産額の推移、そしてどのような運用商品が選択されているのか確認していきます。

加入者数、資産額ともに増加傾向が継続

2013年3月末以降、加入者数は増加しつづけており、2023年3月末において企業型は約805万人、個人型は約290万人と合計1,100万人に迫る勢いです。2022年10月から企業型確定拠出年金(企業型DC)加入者のiDeCo加入の要件が緩和されたこともあり、個人型の加入者数増加を後押ししている可能性があります。

加入者数の推移(2013年3月末から2023年3月末まで)

確定拠出年金で運用されている資産額は、2023年3月末時点で、企業型が約18.8兆円、個人型が約4.3兆円と増加し続けています。

資産額の推移(2013年3月末から2023年3月末まで)

前年同様、運用商品は預貯金と保険が減少し、投資信託が増加

確定拠出年金では、加入者が自分で金融商品を選択して運用していきますが、どのような運用商品が選ばれているのでしょうか。確定拠出年金で選択できる商品は、大きく分けて1)預貯金、2)保険、3)投資信託・金銭信託等といった3種類があり、預貯金および保険は元本確保型となっています。

まず企業型に加入されている方の商品選択状況を確認していきます。次のグラフは2023年3月末における運用商品の選択状況で、投資信託・金銭信託等はアセットクラス別に「国内株式型」「国内債券型」などと分けて表示されています。

企業型加入者の運用商品選択状況(2023年3月末)

預貯金28.3%、保険11.4%と全体の約4割が元本確保型となっています。一方、約6割を占める投資信託等は、バランス型が20.1%、外国株式型が17.1%、国内株式型が12.8%といったタイプが選択されています。直近4年間にわたる選択状況は次のように推移しています。

企業型加入者の運用商品選択状況(2020年3月末から2023年3月末まで)

2020年3月末時点では元本確保型の預貯金と保険の合計で52%弱となっていましたが、直近では4割弱まで低下、そのかわり投資信託・金銭信託等が11.7%上昇し、約6割となっています。特に外国株式型は8.3%から17.1%へと2倍以上に上昇しています。

続いて個人型の商品選択状況について確認してみましょう。

個人型加入者の運用商品選択状況(2023年3月末)

個人型では預貯金が25.6%、保険が8.6%と元本確保型の商品は全体の34.2%と企業型の39.7%よりも低くなっており、さらに前年比でも37.7%から3.5%低下しています。また、投資信託・金銭信託等では「外国株式型」が27.7%と、前年比で3.2%上昇しており、外国株式型の人気がさらに高まっています。過去4年間にわたる選択状況の推移は次の通りです。

個人型加入者の運用商品選択状況(2020年3月末から2023年3月末まで)

個人型の投資信託・金銭信託等の比率は45.5%(2020年3月末)から64.5%(2023年3月末)へと19.0%上昇しており、リスクを取って運用している様子が確認できます。上昇した19.0%のうち16.3%は「外国株式型」によるもので、11.4%(2020年3月末)から27.7%(2023年3月末)へと大幅に上昇しています。

確定拠出年金のお金は原則60歳以降でしか引き出して使うことができませんから、加入者の年齢にもよりますが、運用期間は一般的に長く取ることが可能であり、株式比率が高くなることは合理的な選択と言えるでしょう。

企業型よりも顕著な差が見られる個人型の年代別商品選択割合

次に、どのような商品選択をしているか、加入者の年代別で確認していきましょう。まずは企業型です。

企業型の年代別商品選択割合(2023年3月末)

元本確保型(預貯金(黄色)および保険(緑色)の合計)の割合は30代の方が最も低くなっており、その代わり外国株式型の割合が25%と最も高くなっています。また、受給開始に比較的近い、50代や60歳以上の人は元本確保型の割合が高くなっており、60歳以上では5割を超えています。

次に個人型の年代別商品選択を見てみましょう。

個人型の年代別商品選択割合(2023年3月末)

個人型は、企業型よりも傾向がはっきりと出ており、年齢が上がるほど元本確保型の割合が高くなる一方、外国株式型の割合が低下していく様子が確認できます。そして、20代、30代では外国株式型の割合が46.8%、47.1%と半分近くとなっており、国内株式型やバランス型と合計すると、株式を含む投資信託の比率が7割を超えています。

確定拠出年金は老後資金を準備していく私的年金制度ですから、老後までの期間が相対的に長い若い世代の方が、このようにハイリスク・ハイリターンの株式比率を高めている状況は非常に合理的な選択をしていると言えるのではないでしょうか。

最後に

今回は、最新の確定拠出年金統計資料の内容を確認してみました。企業型、個人型ともに加入者数や資産額は増え続け、確定拠出年金制度が広まってきていることが確認できました。元本確保型の割合は徐々に低下してきており、比較的高いリターンが期待できる投資信託等への配分割合が高まってきていることも確認できました。

今回のデータはあくまで全体の統計値ですが、確定拠出年金に加入されている方は、今回のデータも参考にしながら、老後までの運用期間に応じて、改めて資産配分を見直してみてはいかがでしょうか。

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  • 株式会社ウェルスペント 代表取締役

    横田 健一

    東京大学理学部物理学科卒業。同大学院修士課程修了。
    マンチェスター・ビジネススクール経営学修士(MBA)。

    ファイナンシャルプランナー。大手証券会社にてデリバティブ商品の開発やトレーディング、フィンテックの企画・調査などを経験後、2018年1月に独立。「フツーの人にフツーの資産形成を!」というコンセプトで情報サイト「資産形成ハンドブック」を運営。家計相談やライフプラン・シミュレーションの提供を行い、個人の資産形成をサポートしている。

    資産形成ハンドブック:https://shisankeisei.jp/
    YouTubeチャンネル : 「資産形成ハンドブック」チャンネル
    著書: 新しいNISA かんたん最強のお金づくり

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