マネーのレシピ

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マネー教育が日本を救う?!

4月7日の緊急事態宣言を受け、街の風景も変わりました。多くの会社員がテレワークをしており、長い間変わらなかった日本の働き方も、これを機会に大きく変わるような気がしています。学校関係も休校中が大変で、今後はリモート授業の整備が進むかもしれません。

経済協力開発機構(OECD)が、世界79か国の15歳に実施している「国際学習到達度調査(PISA)」というものがあります。 直近の2018年の結果で日本は、2015年(3年前実施)の前回より、「数学的・科学的応用力」はキープしていますが、「読解力」が8位→15位へと格段に落ちています。 主な理由として、日本の子どもたちは記述問題が苦手なこと、読書習慣が減少傾向にあることなどが挙げられています。 高等教育の学生の間でも、マニュアルがないと対応できない、根拠を示して自分なりの答えを出す力が衰えている、などの評価が多くなっています。 それはもしかしたら、ネットで情報が容易に手に入り、失敗することが少なくなったからかもしれません。

お金の使い方も失敗から学ぶ

自分の子育てと同じく、周りの子どもたちの成長を見てきて1つ確信があります。 それは、「子どもの時にお金の失敗をすることは、決してその子にとってマイナスにはならない。」ということです。

例えばスーパーで小さな子どもに「好きなお菓子を1つ選んできていいよ。」と言ってみると、間違いなく親の期待を裏切った「エ~ッ!」という品物を選んできます。 見た目のインパクトや、パッケージの絵や、付属のおもちゃに目がくらんで、大人の目からみたら、こんなものを…というような物を持って来ることが多いです。

この“小さな挫折”が学びの1歩です。 はじめは、親から予想外のダメ出しをくらったことに不満をためながらも、「なぜダメなのか?」「どうしてしかられたのか?」子どもながら葛藤があり、考えはじめることでしょう。そしてこの小さな失敗は子どもや家庭にとっては、学びの方が断然多い“少額の挫折”です。

小学校中学年ぐらいになると、活動範囲が広くなり情報も多くなるせいか、多くの子どもが急にお金に興味を持ちだします。 自分の気持ちに折り合いをつけて欲求をあきらめることもできるようになったりします。 このような“お金にまつわる学び”は、社会性を育てる身近なツールとして、子育て中の方はぜひ活用していただきたいと思います。 金銭面は親が管理して、子どもには一切お金の話はしないという家庭もありますが、子どもが大きくなって社会に出た時、“大きな挫折”をしないとも限りません。 進学で親元を離れ、自ら金融機関を訪れることもあるでしょうし、ネット通販やキャッシュレス化が進んだ現在、親元を離れた学生なども銀行口座やクレジットカードを持っていないと不便な場合が多く、稼ぐよりも大きなお金を使う機会の方が早く訪れます。

少し前には、道で声をかけられた大学生などが、喫茶店などに同伴の上、「いつのまにかローンで高額の教材を買わされてしまった」とか、「いいアルバイトを紹介すると言われ、着手金や設備費として事前にお金を振り込まされた」などの詐欺まがいが横行しました。 学生でも成人すれば立派な社会人ですから、免疫がないまま「高額の挫折」に遭遇したら、本人も大きな心の傷を抱えることになってしまいます。

小さな失敗が育てる力

子どもの頃から欲しいものが苦も無く手に入り、無くなればすぐに与えるということを繰り返すと、子どもはお金に執着しなくなる代わりに、お金を手に入れる満足感も得られなくなると思います。 大人になってから自由にやりたいことをやるため、生活を維持するため、病気や事故などのリスク管理のためにも、ぜひ若い世代にこそ「実践的なマネー教育」が必要だと感じています。 日本でも既に選挙権年齢は18歳に引き下げられましたが、契約も可能な年齢が18歳となるのは、2022年4月1日からです。(飲酒や喫煙、ギャンブルについては現行通り20歳からのままです。)

子どものリスク耐性は一朝一夕にはつきません。成長に合わせ、少しずつ困難に対処する力をつけさせることが必要です。 成人年齢の引き下げとともに、社会人になると急に自己責任が叫ばれ、マネー知識が必要になるにも関わらず、日本の学校教育では先進諸外国に比べ、保険、年金、納税、消費、運用などの「実践的なマネー教育」がほとんど行われていません。

今年度入社した新入社員の多くが、会社から退職後の企業年金として「確定拠出年金制度」の説明を受け、既に運用スタートしています。 しかし、今までまったく投資教育をうけてきていない新入社員にとって、短時間でこの制度を理解することは難しく、運用先や割合を指図することは容易ではありません。 親の代には導入されていなかった制度ですから、相談された親も困っているのが現状です。

大切なのは楽しく学ぶこと

マネー教育、経済教育は、社会で通用する自立した大人になってもらうための1歩です。 今、家計の話題、世界経済の話題は、家族でコミュニケーションをとるための絶好のツールとなり得ます。

  • 若者は、経験豊富な年配者から過去の経験談や、成功・失敗談を聞きましょう。
  • 年配者は、よい機会なのでスマホの使い方やキャッシュレスの方法、ネットバンキングについて教えてもらいましょう。

お金の話題は個人情報になりますから、友人知人といえども話題にできませんが、家庭内なら情報交換や不安解消にも、よい学びの機会となります。

経済ニュースを見ながら「あーだ、こーだ」と家族間で話し合えば、家にいながら楽しみも増えることと思います。 これからは家庭での積極的な「マネー学習」が、超高齢化社会の日本を救うかもしれません。 家庭での巣ごもりにこんな過ごし方はいかがでしょうか?

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森田久美子
森田久美子

・日本FP協会 CFP®
・国家資格 1級ファイナンシャプランニング技能士

大学卒業後、広告制作会社や代理店などを経て、2人の子育て
中の2002年にFP資格を取得。
主に子どもと親対象のマネー教育、女性のライフプランや投資に
ついての個人セミナーを実施継続中。