確定拠出年金で人気の運用商品とは?~預貯金比率が3割を割り込み、外国株式型投資信託比率が急上昇!~
老後資金作りのための制度として確定拠出年金は、企業単位で導入される企業型、個人単位で加入する個人型(iDeCo)があり、加入者数は増加しつづけています。
今回は、2022年12月に公表された「確定拠出年金統計資料(運営管理機関連絡協議会提供)」(データは2022年3月末)を参考にしながら、企業型、個人型のそれぞれの確定拠出年金について、加入者数や資産額の推移、そしてどのような運用商品が選択されているのか確認していきます。
加入者数と資産額の推移
最初に、加入者数と資産額の推移を確認しておきましょう。
2012年3月末以降の加入者数は次のように推移しており、2022年3月末において企業型は約782万人、個人型は約239万人と、合計1,000万人を突破しています。
そして確定拠出年金で運用されている資産額は、企業型では約17.8兆円、個人型では約3.7兆円と、こちらも増加し続けています(2022年3月末)。
運用商品は預貯金と保険が減少し、投資信託が増加
続いて、確定拠出年金に加入されている方がどのような運用商品を選択しているか確認してみましょう。確定拠出年金では、大きく分けて、1)預貯金、2)保険、3)投資信託・金銭信託等といった3種類の商品から選択でき、預貯金および保険は元本確保型の商品となっています。
まず企業型の確定拠出年金に加入されている方が選択している商品を見ていきます。次のグラフは2022年3月末における運用商品の選択状況です。投資信託・金銭信託等については、具体的な対象資産に応じて「国内株式型」「国内債券型」などと分けて表示されています。
預貯金が29.4%、保険が12.0%と元本確保型の商品は全体の4割程度となっているのに対し、投資信託等は6割弱となっています。投資信託の中では、バランス型が19.5%、外国株式型が16.0%、国内株式型が12.5%といった順で選択されています。
過去4年間にわたる選択状況の推移を確認すると、次のようになっています。
預貯金が今回初めて3割を下回っており、保険についても12.0%と2019年3月末と比較して4.2ポイント低下しています。一方、投資信託・金銭信託等は49.0%(2019年3月末)から57.9%と大幅に上昇していることが確認できます。
投資信託の中でも特に増えたのが「外国株式型」で、9.0%(2019年3月末)から16.0%へと大幅に増加しています。「バランス型」は2.9%増加しているものの、それ以外は変わらずか、少し減少していることを考えると外国株式型の上昇は顕著ですね。
続いて個人型についても同様に確認してみましょう。
預貯金が27.4%、保険が10.3%と元本確保型の商品は全体の37.7%と、企業型よりもさらに低い割合となっています。そして6割強の投資信託等で最も割合が高くなっているのは「外国株式型」の24.5%と、企業型では1位となっていた「バランス型」の15.9%を大きく上回る形となっています。「外国株式型」が圧倒的な人気となっていることが確認できます。
また、過去4年間にわたる選択状況の推移は次の通りです。
個人型では、投資信託・金銭信託等の比率の上昇がさらに顕著で、43.7%(2019年3月末)から61.1%(2022年3月末)へと17.4%も上昇しています。そしてその上昇分の大半が「外国株式型」となっており、10.3%(2019年3月末)から24.5%(2022年3月末)へと2.4倍近くに増加しています。
一方、預貯金は個人型でも3割を下回っており、保険と合わせた元本確保型全体でも4割を下回る状況になりました。
このようなリスク資産への選好が今後も進むのか、このくらいの水準で落ち着くのか、今後の動向に注目していきたいですね。
企業型と個人型ではまったく異なる年代別商品選択割合
続いて、加入者の年代別で見た時に、どのような運用商品を選択されているか確認してみましょう。まずは企業型です。
30代の方に注目すると、元本確保型(預貯金(黄色)および保険(緑色)の合計)の割合が最も低い一方、外国株式型の割合が最も高くなっています。そして、30代よりも若くなるにつれ、そして高齢になるにつれ、それぞれ元本確保型の割合が上昇するとともに、外国株式型の割合が低下していることがわかります。
そして、年代別の商品選択で、さらにはっきりとした傾向となっているのが、次の個人型です。
元本確保型の割合は10代の11.1%から60代以上の53.3%へと高齢になるにつれ上昇しており、その代わり、外国株式型は10代の52.9%から60代以上の12.0%へと高齢になるにつれ低下していることが確認できます。
特に外国株式型については、20代、30代の方で4割を超えており、若い方を中心に外国株式型を選択している状況が明確になっています。
運用期間が長く取れる若い方であれば、外国株式型などのよりハイリスク・ハイリターンの商品割合を高めておくのはとても理にかなった選択と言えます。確定拠出年金以外の保有金融商品も踏まえた商品選択をされている事も考えられ、個人型の加入者は金融リテラシーの高い方が多いと言えるかもしれません。
最後に
確定拠出年金のお金は老後に向けて準備していくお金であり、60歳まで引き出すことができません。そういった資金の性質を踏まえていただき、今回の調査結果も参考にして、ぜひご自身の確定拠出年金での商品選択についてあらためてご確認いただければと思います。
20年、30年と複利で長期にわたり運用していく効果はとても大きなものですので、比較的若い方で預貯金や保険の割合が高めになっている方はこの機会に見直しておかれることをおすすめします。