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荒れ相場に何ができるのか?

新型コロナウィルスという感染症との戦いは発生地とされる中国からアジア、欧米、南半球へも広がり長期戦の様相を呈しています。“見えない敵”との闘いによる荒れ相場が続いていますが、このような状況下で私たち個人投資家はいったい何ができるのでしょうか?ご一緒に考えてみたいと思います。

過去を振り返ってみますと、直近の経済的な脅威は2008年にはじまったリーマンショックでしょうか。“リーマンショック”は、多くの複雑な証券化商品が乱発された結果、米国大手の投資銀行であるリーマンブラザーズが破綻して世界中に影響を及ぼしました。日本はバブル崩壊後の長引く景気低迷で回復までにはほど遠い状態でしたが、少しずつ明るい兆しが見え始めた時期だったと思います。まだ記憶に新しい出来事ですが、この時の世界の株価はジワジワと下がるばかりで個人投資家の方は総悲観し、投資をはじめたばかりの方は「やっぱり投資はこわい」と思ったに違いありません。そして今回のコロナショックによる株価の乱高下ぶりは、短期間にもかかわらず予想外に甚大で、人々の恐怖心は増すばかりです。

VIX(ヴィックス)指数とは?

米国の株価指数「S&P500」のオプション取引をもとにした指数(ものさし)で、数値の大きさが投資家の心理的な恐怖感を表しており、日本では“恐怖指数”ともよばれています。

通常は10~20ぐらいで推移しており30を超えるとよく話題に上ります。今年は、2月後半から急上昇し3月半ば過ぎまでのわずかの期間で、リーマンショック以来の80超えの数値まで到達しました。このことからも、今回のコロナショックによる投資家の恐怖心はとても大きいものだと言えます。

自分のものさしを持とう!

経済ニュースなどで「日経平均(日経225)」、「TOPIX(東証株価指数)」、米国の「ダウ工業株30種平均(ニューヨークダウ)」という“株価指数”はよく耳にすると思いますが、これらは時系列的に株価の動きを見る“ものさし”となる指標です。今年になってから3月19日までの間に日経平均、NYダウ平均とも最高値から最安値まで30%以上も下落しています。

株価の流れや現在の状態を知るために、多くの投資家がこれらの指数を取引の参考にしていますが、市場には機関投資家(プロ投資家)の大きな資金も加わっていることを忘れてはなりません。金融を仕事にする機関投資家の方々と個人の投資者では、投資する資金の性質、期間、目的が違いますから、ぜひ自分だけの“ものさし(指標)”を持つことをお勧めします。


私個人の場合で言うと、売買を伴う「株式投資」と、長期で資金投入している「投資信託」では、手法を変えています。

「株式投資」では、経営陣が入れ替わると会社の方針がガラッと変わってしまうこともありますから、2,3年ごとに見直しています。過去2~3年分ぐらいの株価の推移を株価チャートで見ると、業種独特の季節的な波、過去の経済ニュース発生時の大きな株価変動や現在の株価の位置も確認できます。さらに、業績や会社の体力などの財務情報を表す基本情報もチェックしています。そして“自分だけの指標”によって株式の購入時期や購入価格帯を決めますが、私が保有したいと思う銘柄には以下のような条件があります。

  1. 長くそこの株主でいたいと思える企業
  2. 将来大きく成長するだろうと思える企業
  3. 従業員にも評判が良い企業
  4. 生活関連で世界的シェアを誇る企業
  5. 情報開示に積極的な企業

等々です。考えが変わることもしばしばですが、なるべく時々の風潮や雰囲気にのまれないように気をつけます。そして株価高騰等の理由により購入のチャンスに恵まれなかったときは、「ご縁がなかった…」とあきらめて次の機会を待ちます。株価上昇が続くと、心理的に熱くなってどうしても欲しい気持ちが勝ってしまい、高値で購入しがちです。なぜこの銘柄が欲しかったのか?はじめに適正価格はいくらだと思っていたのか?初心に立ち返る必要があると思います。

何を心のよりどころにするかは人それぞれですが、自分だけの指標を持って常に感情をコントロールすることが投資には不可欠ではないでしょうか。しかし、今回のような世界全体を巻き込むような荒れ相場下では、個人のこだわりも大波にのまれてしまいかねません。このような時私の場合は、何もせずにいったん休みます。刻々と損失が膨らむような「信用取引」には参加していないこともありますが、たまには冷静に市場を見守り、充電することも必要だと思うからです。まったく先が読めない時は、いったん退場し出直す勇気を持とうと考えています。


「投資信託」のほうは、もっと長くゆったりとしたスパンで考えています。「投資信託」は、すでに投資対象が分散されているしくみで、構成要素の売買を投資者本人が行うわけではありません。ファンドマネージャーが総合的な判断で入れ替えを行うので、投資者には見えない部分が多いと思います。「投資信託」はスピーディな取引は難しいですが、積み立て型であれば、購入タイミングの時間的リスク分散もしてくれます。私は、むしろ基準価額が低い時期に購入していけば、将来的に大きな成果を生むと考えていますので、今まで通り無理なく資金の拠出は続けていくつもりです。


「もう金輪際こりごり」と投資を止めてしまうのは簡単ですが、悔やむだけでは解決になりません。時間はかかるかもしれませんが、コロナショックも永遠に続くものではなく、いずれ終わりが来ると思います。時間を区切らず長期で構えることができるのは、個人投資家ならではのメリットでもあります。痛みは伴いましたが、この困難を“荒れ相場を乗り越え、力をつけるチャンス”と前向きにとらえてみても良いのではないでしょうか。

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森田久美子
森田久美子

・日本FP協会 CFP®
・国家資格 1級ファイナンシャプランニング技能士

大学卒業後、広告制作会社や代理店などを経て、2人の子育て
中の2002年にFP資格を取得。
主に子どもと親対象のマネー教育、女性のライフプランや投資に
ついての個人セミナーを実施継続中。