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転職時の確定拠出年金の手続き漏れに要注意!自動移換のデメリットと移換手続き方法を解説

(公開) 2025年11月

転職時の移換手続きを忘れたまま放置をしている企業型確定拠出年金(DC)からの自動移換者が年々増加しています。国民年金基金連合会の調査によると2024年3月末時点で自動移換者数は約129万人と10年前から3倍近く増加しています。

自動移換とは?

転職などにより「企業型確定拠出年金」の加入者資格を喪失された翌月から起算して6ヶ月以内に、他の確定拠出年金制度に移換等の手続きをしなかった場合には、保有している確定拠出年金の資産は国民年金基金連合会に自動移換されることです。

<自動移換のデメリット>
  • 確定拠出年金資産の運用がされない
  • 手数料が差し引かれる
  • 自動移換中は「確定拠出年金の加入期間」としてカウントされないため、加入期間が10年未満の場合は、受給可能年齢が後倒しになってしまう

自動移換されるとかかる手数料

まず、自動移換された時点で手数料として合計4,348円(国民年金基金連合会から1,048円、特定運営管理機関から3,300円)が徴収されます。

さらに自動移換されてから4カ月たつと月52円※の管理手数料が発生し、3月末に年度分をまとめて徴収され、確定拠出年金の資産が目減りしていきます。

※2026年4月以降は月98円に引き上げ

そして他の企業型確定拠出年金/確定給付企業年金への移換手数料として1,100円/回がかかります。個人型確定拠出年金(iDeCo)の場合は合計3,929円(国民年金基金連合会から2,829円、特定運営管理機関から1,100円)が徴収されます。(移換先の運営管理機関によってはさらに手数料が発生します)

このように様々な場面で手数料がかかりますので、非常に勿体ないです。すでに自動移換になってしまっている人は早急に移換手続きをして運用を再開されることをお勧めします。

放置年金を減らす取り組み

「放置年金」を減らそうと、国民年金基金連合会は2026年4月から管理手数料を月98円に引き上げを予定しています。また、自動移換から転職先の企業型確定拠出年金やiDeCoに移換する際の手数料は1100円から550円に下げて再び運用に回すハードルを下げています。

手数料名称徴収主体補足
新規自動移換手数料※11,048円/回国民年金基金連合会
3,300円/回特定運営管理機関
管理手数料※20円/月40円/月国民年金基金連合会新設
52円/月58円/月特定運営管理機関金額変更
移管手数料※31,100円/回550円/回特定運営管理機関金額変更
最低手数料※44,180円/回特定運営管理機関
スクロールできます

※1 企業型確定拠出年金(企業型 DC)から自動移換されるときにご負担いただく手数料。 ※2 自動移換された日の属する月の4ヵ月後からご負担いただく手数料。年 1 回 3 月末に年度分をまとめて4月に個人別管理資産より徴収。令和 8 年4月分から新手数料を適用。 ※3 自動移換から企業型 DC や個人型確定拠出年金(iDeCo)、確定給付企業年金へ個人別管理資産を移換する際にご負担いただく手数料。令和 8 年4月以降の他制度への移換受付分から新手数料を適用。 ※4 脱退一時金、死亡一時金、法 34 条裁定等給付を受ける際にご負担いただく手数料。

出典:国民年金基金連合会「自動移換にかかる手数料改定のお知らせ」

また、国民年金基金連合会では、自動移換者の減少に向けた取り組みとして、2024年12月1日より、自動移換の簡素化・自動化の措置が開始されました。

企業型確定拠出年金の資格喪失後6か月以内に新たにiDeCoや転職先の企業型確定拠出年金の加入者になったことが確認できた方や、自動移換者の方で新たにiDeCoや企業型確定拠出年金の加入者になったことが確認できた方は、移換の申し出をすることなく、転職前の企業型確定拠出年金や特定運営管理機関からiDeCoや転職先の企業型確定拠出年金へ移換処理が行われるようになりました。

ここからは企業型確定拠出年金やiDeCo(個人型確定拠出年金)への一般的な移換方法を解説していきます。

転職先の企業型確定拠出年金に移換する方法

転職先に企業型確定拠出年金がある場合は、そちらに移換手続きをしましょう。
※以下の手順はあくまで一例ですので、勤務先の案内を優先してください。

1. 転職先に申し出る

転職先の企業の確定拠出年金担当部署(人事部など)に、自動移換された資産があることを伝えます。

※転職先が企業型確定拠出年金(DC)を導入していない場合や移換ができない場合は個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する手続きを行います。

2. 書類を準備・提出する

  • 転職先から移換手続きに必要な書類を受け取り、記入します。
  • 国民年金基金連合会から届いた通知:自動移管された際に届く「自動移換通知」や「確定拠出年金加入者資格喪失のお知らせ」などの書類を手元に用意します。
  • 基礎年金番号:年金手帳などで確認できます。(参考: 基礎年金番号の調べ方)

3. 転職先企業の担当者が手続きを行う

提出した書類をもとに、転職先の企業の担当者が運用管理機関を通じて移換手続きを行います。通常、手続きには2~3ヶ月程度かかります。

4. 運用商品の配分を指定し運用を再開

移換手続きが完了すると、転職先の確定拠出年金プランの運用商品で、自動移換されていた資産の配分を指定します。特に指定しない場合、掛金の配分割合がそのまま適用される場合がありますが、資産額が大きい場合は注意が必要です。配分を指定しないままだと、元本確保型商品など、運用益が期待できない商品になることがあります。

個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換する方法

移換をご希望する金融機関からiDeCo加入の申し込み書類を取り寄せ、必要書類を金融機関に提出します。
※以下の手順はあくまで一例ですので、金融機関からの案内を優先してください。

1. 事前準備

  • 基礎年金番号:年金手帳などで確認できます。(参考: 基礎年金番号の調べ方)
  • 掛金を引き落としたい口座の情報
  • 国民年金基金連合会から届いた通知:自動移管された際に届く「自動移換通知」や「確定拠出年金加入者資格喪失のお知らせ」などの書類を手元に用意します。

2. 移換先の金融機関(運営管理機関)を選び、申込書類を請求する

  • 希望する金融機関(運営管理機関)に「自動移換された資産の移し換え」と「新しい個人型確定拠出年金(iDeCo)への加入」を希望の旨を伝え、申込書類を請求し、必要書類(個人年金加入申出書や個人別管理資産移換依頼書など)をご提出ください。
  • 受付から1〜2か月で口座が開設されます。
  • 自動移換資産は通常2〜3か月で資産がiDeCo口座に振り替えられます。

3. 商品配分を指定し運用を再開

新たに積み立てを開始する掛け金や振替えられた資産を希望ファンドへの配分変更/スイッチングを忘れずに指示します。

まとめ

今回は、企業型確定拠出年金の自動移換について解説をしました。

自動移換はデメリットしかありません。運用がされない状況で、手数料が引かれることで資産が目減りしていくことに加えて、自動移換期間中は「確定拠出年金の加入期間」としてカウントされないため、加入期間が10年未満の場合は、受給可能年齢が後倒しになってしまいます。

企業型確定拠出年金(DC)に加入している人は、転職時に必ず手続きを行いましょう。

※本コラムに記載している金額は税込表示となります

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  • 志村織帆

    ブロードマインド株式会社 ファイナンシャルプランナー

    志村織帆

    教員免許を取得するも、人生において切り離せないお金の面で家庭をサポートしたいという思いから、ファイナンシャルプランナーの道を選択。
    保険・証券・銀行・不動産のそれぞれのライセンスを保有して、特定の金融機関に偏らない立場からアドバイスを行う、ブロードマインドへ入社。
    「情報が溢れている中で、正しいお金の選択を一人でも多くの方にしてほしい」をモットーに、年間約300世帯の個別面談やマネーセミナーの講師を経験。

    「マネプロ」は、保険・資産運用・住宅ローンなど幅広い金融商品の無料相談サービス。豊富な知識を持ったプロフェッショナルが、特定の金融機関に偏らない立場からお客様のライフプランの実現をサポートさせていただきます。www.moneypro.jp

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