20~30代でもiDeCoをやっておくべき?所得控除のパワーを活用しよう
2024年からNISA制度が拡充され、「毎月そこまで余裕もないしNISAだけやっておけばいいや」と考える人も多いのではないでしょうか。しかし、それではもったいないと思います。
今回は、NISAと比較をしながら若い世代でもiDeCoをやっておくべき理由について説明をしていきます。
NISAとiDeCoの違い
まず、NISAとiDeCoの違いから見ていきましょう。
NISA | iDeCo | |
---|---|---|
利用できる方 | 18歳以上 | 65歳未満の国民年金加入者 |
税制上のメリット | 運用益が非課税 | ・運用益が非課税 ・所得控除 |
非課税期間 | 無期限 | 運用期間中 |
利用限度額 | 成長投資枠:年間240万円 ・つみたて投資枠:年間120万円 ※非課税保有限度額は1,800万円まで (うち成長投資枠は1,200万円まで) | 年間24万円~ ※働き方などによって異なる |
元本保証(確保)商品 | 原則なし | あり |
途中引き出し | 可能 | 60歳まで原則不可 |
最低投資金額 | 金融機関によっては100円以上 | 月5,000円以上 |
※金融庁「令和5年度税制改正について」に基づき作成
今回はNISAとiDeCoを比較するうえで特に重要なポイントと考えている以下3点を順番に解説します。
- 運用益が非課税:NISA・iDeCoに共通するメリット
- 所得控除: iDeCoのみ
- 元本確保型商品があるかどうか:iDeCoのみ元本確保型商品がある
■運用益非課税とは?
NISAとiDeCoに共通するメリットは「運用益非課税」という点です。
一般的に投資で利益が出た場合、その利益に対して20.315%の税金がかかります。しかしNISAやiDeCo口座を通じて運用をした場合、運用で得た利益(分配金と譲渡益)に対しては非課税となり、20.315%の税金がかかりません。 例えば投資で、100万円の利益があった場合には、約20万円(100万円×20.315%)の税金が引かれ約80万円を受け取ることになりますが、NISAやiDeCo口座を通じて運用で得た利益は非課税となるため、運用益100万円をそのまま受け取ることができる点がメリットです。
■iDeCoだけのメリット「所得控除とは?」
iDeCoは、NISAにはない「所得控除」があります。
所得控除とは、所得税などの金額を計算する際、所得金額から差し引くことができる制度のことです。つまり、老後のための積み立てをしながら、税負担を軽減することができます。
以下は年収400万円の会社員の方が、30歳から65歳までiDeCoを活用した場合どのくらい節税できるのかをシミュレーションをしたものです。
図の通り、年収400万円の会社員の場合は、iDeCoで月々1万円を積み立てすることで、年間約1.8万円の節税になり、これを65歳まで続けると35年間の総額は約63万円となりました。
【毎月の掛け金を変えた場合】
毎月の掛け金 | 年間の節税額 | 35年間の節税総額 |
---|---|---|
5,000円 | 9,000円 | 315,000円 |
10,000円 | 18,000円 | 630,000円 |
20,000円 | 36,000円 | 1,260,000円 |
このようにiDeCoは掛金が全額所得控除となるため、税負担が軽減されます。
過去に相談されたお客様の中には、還付されたお金を使って旅行に行くなど、賢く制度を活用して今を楽しむことを大切にしている方もいました。
また、iDeCoの節税効果は職業や収入によって異なりますので、ご自身の場合はどのくらい税負担が軽くなるのか一度シミュレーションをしてみましょう。
■どんな商品が選べるのか
NISAが投資信託や上場株式などの投資型商品のみに対して、iDeCoは投資型商品に加えて、定期預金といった元本確保型商品を用意している金融機関もあります。
iDeCoには元本確保型の商品があることを知らずに、まだ始められていない人もいるのではないでしょうか。
基本は長期運用となるため、投資型商品がおすすめですが、最初は元本確保型でも所得控除があるため、まずはやってみることをおすすめします。(慣れてきたら投資型の商品で運用してみるという気持ちでOKです)
■結局NISAとiDeCoをどのように使い分ければいいのか?
基本は60歳より手前で使う資金はNISA、老後資金はiDeCoと覚えておくと良いでしょう。iDeCoは解説したとおり掛金が全額所得控除になるため、税負担が軽減されるメリットを受けながら老後資金を積み立てることができます。
また、iDeCoで運用している残高が原則60歳まで引き出しができないことはデメリットですが、捉え方を変えると積み立てたお金を、つい別の目的に使ってしまって老後資金が貯められなかったという心配がありません。
また少し話がずれますが、保険も保障の確保や生命保険料控除を活用しながら老後資金の準備ができるのでiDeCoだけでは十分な老後資金を用意できないときは、NISAや保険での上乗せも検討すると良いでしょう。
まとめ
今回は、NISAやiDeCoの違いを説明しながら、若いうちからiDeCoをやっておくべき理由について解説をしてきました。老後資金を準備する場合は、所得控除の効果が大きいのでiDeCoを最低掛金額の5,000円でも活用するのがおすすめです。
NISA・iDeCo両者の違いを理解し、それぞれの運用の目的に応じて制度を上手に活用しましょう。