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iDeCoの制度、今後はどう変わる?

確定拠出年金は、2001年に導入され、日本の年金制度の中では比較的歴史の浅いものです。基本的に2つのタイプに分かれていて、導入されている企業にお勤めの会社員の方を対象とした企業型確定拠出年金、そしてもう一つが自営業、一般の会社員・公務員、そして専業主婦といった幅広い方を対象とした個人型確定拠出年金(愛称iDeCo: individual-type Defined Contribution pension plan)になります。

2019年4月時点でのiDeCoの加入者数は約123万人で、内訳は、

  • 自営業などの第1号加入者が約15万人
  • 会社員や公務員といった第2号加入者が約104万人
  • 専業主婦(主夫)の第3号加入者が約4万人

となっています。

今後も確定拠出年金のさらなる普及を進めるため、より使いやすい制度に変えていくために様々な議論が行われています。

本日は、そのような議論が行われている社会保障審議会の資料を参考にして、個人型確定拠出年金の今後の制度改正について、現在どのような意見が出されているのか、そしてもしそのような変更が行われたらどのような影響があるのかについて確認していきます。

具体的には、2019年5月17日に開催された第5回社会保障審議会(企業年金・個人年金部会) の資料を参考にしています。

個人型確定拠出年金について議論されている制度改正の可能性

制度改正に向けて、様々な意見が挙げられていますが、今回はその中でも次の3つに絞って確認していきたいと思います。

  1. iDeCo加入可能年齢の引き上げ
  2. 拠出限度額の引き上げ
  3. 資格区分・限度額区分の簡素・合理化(手続きの効率化)

1.iDeCo加入可能年齢の引き上げ

まず1つ目は、加入可能年齢の引き上げです。現在、iDeCoに加入できるのは、60歳までとなっており、60歳以降70歳までの間に一時金や年金という形で受け取ることになっています。

しかし、人生100年時代といわれる昨今、60歳で現役引退されるという方は減少してきており、65歳や70歳といった年齢、もしくは知力、体力の続く限り働いていきたい、という方が増えてきています。

日本人男性の平均寿命は81.09歳、女性は87.26歳(※)となっており、寿命は伸び続けています。この寿命はあくまで平均ですので、半分の方はこの年齢までに亡くなられるわけですが、もう半分の方はさらに長生きされますので、老後の生活費をどのように確保していくか、は非常に重要なポイントになってきます。

こういった点を踏まえて、iDeCoに加入できる年齢を引き上げるべきだ、という意見が出されているわけです。加入可能年齢の引き上げは、純粋に加入可能期間が伸びることで、運用可能期間の延長や受け取り時期の選択肢拡大が考えられ、ポジティブな影響があると考えられます。

2.拠出限度額の引き上げ

現在の個人型確定拠出年金の掛金額は最低5,000円(月額)で、拠出限度額は以下のように定められています。

職業 国民年金 拠出限度額(月額)
1. 自営業者等(フリーランス含む) 第1号被保険者 68,000円
※国民年金基金の限度額と枠を共有
2. 厚生年金保険の被保険者のうち 〔1〕確定給付型年金に加入 第2号被保険者 12,000円
〔2〕企業型DCに加入 第2号被保険者 20,000円
〔3〕企業型DCがない 第2号被保険者 23,000円
〔4〕公務員 第2号被保険者 12,000円
3. 専業主婦(夫)等 第3号被保険者 23,000円

この拠出限度額を引き上げるべきだ、という意見が出ています。

確定拠出年金は、拠出時は掛金全額が所得控除、運用時は運用益が非課税、そして受給時は退職所得控除や公的年金等控除といった形で税制上のメリットがあります。拠出限度額が引き上げられることで、税制メリットを受けられる金額も大きくなることが期待されますので、この点についても加入者の方にとってはポジティブな話だと考えられます。

3.資格区分・限度額区分の簡素・合理化(手続きの効率化)

現在iDeCoの加入資格や限度額は上の表にある通りですが、中でも国民年金の第2号被保険者である会社員や公務員の方の部分については複雑になっています。その上、資格区分に応じて、企業と個人それぞれに発生する事務手続き負担が重くなっており、普及促進の妨げとなっているのではないか、と言われているわけです。

会社員の方で、個人型確定拠出年金に加入するために、お勤め先で手続きしようとしたら、その会社の担当者の方がそもそも理解していなかったために手続きがなかなか進まない、といった話も聞かれます。このような現状を踏まえ、全体的に簡素化、合理化していこう、という議論が行われているわけです。

資格者区分や限度額区分がよりシンプルになり、わかりやすくなるのであれば、加入者や加入を検討されている方、そして会社で年金関係の事務手続きを担当されている方にとって理解が進み、個人型確定拠出年金がさらに利用しやすく、普及していく可能性が高まるのではないかと思います。

最後に

現時点で改正が決まっているものはありませんが、このようなポイントについて議論が行われているところです。長寿化や働く期間の長期化といった時代の変化に伴って、iDeCoも今後制度改正が行われていくことはほぼ間違いないと筆者は考えています。

老後のお金としては、

  • 元気なうちはできるだけ長く働く
  • 公的年金を受け取る
  • 職場からの退職金や企業年金を受け取る
  • iDeCoなどの私的年金を受け取る
  • 資産形成してきたお金を取り崩していく

などの選択肢を組み合わせながら設計していくことになります。現役引退前から、現役引退後に向けて、20~30年といった長期的なライフプランニング、そしてマネープランニングを行うことで、老後のお金について「見える化」をしていくことが重要になってきます。

公的年金は早くても60歳からの受給ですし、iDeCoも同じく60歳になるまで引き出すことができません。iDeCoに積み立てすぎて、60歳手前での資金繰りに困ってしまう、といったことにならないよう、バランスを取りながら資産形成していくことが重要です。

※厚生労働省の平成29年簡易生命表
参考:第5回 社会保障審議会 企業年金・個人年金部会 資料

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横田健一
横田健一

株式会社ウェルスペント 代表取締役

ファイナンシャルプランナー。大手証券会社にてデリバティブ商品の開発やトレーディング、フィンテックの企画・調査などを経験後、2018年1月に独立。「フツーの人にフツーの資産形成を!」というコンセプトで情報サイト「資産形成ハンドブック」を運営。家計相談やライフプラン・シミュレーションの提供を行い、個人の資産形成をサポートしている。

東京大学理学部物理学科卒業。同大学院修士課程修了。
マンチェスター・ビジネススクール経営学修士(MBA)。
資産形成ハンドブック:https://shisankeisei.jp/