資料請求(無料)はこちら

マネーのレシピ

お金の専門家と一緒に、ワンランク上の資産運用を。

iDeCoだけで老後資金は準備可能?2024年12月から拠出限度額が8,000円増額に

(公開) 2025年1月

2001年から始まった確定拠出年金は導入からすでに23年ほど経過、この間、制度改正を繰り返してきました。こういった改正の1つとして2024年12月から、公務員を含む確定給付企業年金(DB)等の企業年金制度に加入している人の個人型確定拠出年金(iDeCo)の拠出限度額(月額)が12,000円から20,000円へと引き上げられました。

今回はこの改正の背景と、この改正による老後資金への影響についてご説明します。

2024年12月改正の背景

2024年11月までの制度では、確定給付企業年金(DB)、厚生年金基金、私立学校教職員共済制度、石炭鉱業年金基金、公務員の退職等年金給付(共済)といった制度(以下、DB等の他制度)に加入している人のiDeCoの拠出限度額は12,000円(月額)となっていました。

この拠出限度額はDB等の他制度掛金相当額を一律27,500円(月額)とみなして定められたものでしたが、実際にはそこまで多くの掛金となっていない人が多く、より公平で実態に即した制度とするため、DB等の他制度掛金相当額を個別に評価していく方法に変更されることになったのです。

2024年12月から拠出限度額(月額)が8,000円増の20,000円に

次の図にある通り、公務員を含む、DB等の他制度(企業年金)に加入している人については、2024年11月まではDB等の他制度掛金相当額が一律27,500円(月額)とみなされて、企業型DC(確定拠出年金)とiDeCoの拠出限度額が定められ、これら2つの合計で27,500円、そのうちiDeCoのみでは最大で12,000円(月額)となっていました。

出所:厚生労働省ホームページ「DB等の他制度に加入している方へ(公務員を含む)」(チラシ)をもとに筆者作成

今回の改正では、このDB等の他制度掛金相当額について一律27,500円(月額)という評価から、個別に評価する方法に変更され、上の図の右側にあるように、iDeCoの拠出限度額が最大20,000円(月額)に引き上げられたのです。

掛金8,000円増加の効果はどのくらい?

毎月の拠出限度額が8,000円引き上げられたわけですが、その効果はどのくらいあるのでしょうか。

30歳の人が60歳まで30年間にわたり、毎月1.2万円を拠出した場合と、毎月2.0万円を拠出した場合で、60歳時点でどのくらいの金額差になりうるのか確認してみます。

iDeCoでは投資信託などの商品をご自身で選択して運用していくことになりますが、運用利回りを3%、5%、7%の3パターンで計算してみます(実際には投資信託などのリスク性商品の場合、利回りは確定していませんが、ここでは便宜上、利回りが確定しているものとして試算します)。

まず毎月1.2万円、30年間で合計432万円(積立元本合計)を拠出した場合です。利回りが3%、5%、7%のそれぞれの場合、30年後には696万円、982万円、1,411万円となります。

次に、今回の改正を受けて上限となる2万円を拠出した場合について計算すると次のようになります。

毎月2万円、30年間では合計720万円(積立元本合計)を拠出することになりますが、利回りが3%、5%、7%のそれぞれの場合、30年後には1,160万円、1,637万円、2,352万円となります。

投資信託の場合、運用利回りが事前に確定しているわけではありませんから、30年後まで実際にどのくらいの利回りになるかはわかりません。しかし、株式などの高いリターンが期待できる資産を中心に運用していけば、利回り3~7%というのは十分に現実的な水準だと考えています。

ご自身のライフプランを考えながら、NISA(少額投資非課税制度)など他の制度や商品とのバランスも考慮して、老後資金準備としてiDeCoの掛金額を見直してみてはいかがでしょうか。拠出限度額が大きくなることで、iDeCoの利用価値が高まると言えるでしょう。

なお、令和7年度税制改正大綱においてiDeCoの掛金限度額のさらなる引き上げが盛り込まれました。大綱通りの改正が行われると、限度額はさらに大幅に引き上げられることになります。

注意事項

掛金額を実際に変更する場合には手続きが必要となりますので、変更される方は必ず手続きするようにしましょう。また、公務員を含む、DB等の他制度(企業年金)に加入している人のiDeCoの掛金拠出方法は毎月定額拠出のみが可能となり、年単位拠出は利用できなくなりました。毎月定額拠出への切り替えを行わないと拠出停止となってしまいますので、年単位拠出の人は必ず手続きをするようにしましょう。

なお、本記事では掛金拠出時の所得控除や、受取時の税負担については考慮しておらず、掛金額変更による影響のみについて説明していることにご留意ください。

関連記事

auのiDeCoに関する
お問い合わせ

iDeCo(イデコ)の制度や申込方法、加入後の諸変更手続き等をご案内致します。