※この対談は平成31年2月に行われたもので、制度や税制については当時のものとなります。現在とは異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
iDeCoの最大の魅力は、しっかり貯めながら、税金も減らせること。第2回は、そんなiDeCoの税制優遇について深堀り。どれくらいの効果があるのかを紹介しつつ、始める際の注意点などもレクチャーします。
iDeCoで、税金が100万円減る!?
鈴木:iDeCoを利用すると税金の負担が軽くなるんですか?
飯村(FP):そうなんです。国が個人で年金を用意することを推奨していて、iDeCoを使う人の税金を優遇してくれるんです。
鈴木:うれしい! いくら税金が抑えられるんですか?
飯村(FP):収入や積み立て額によって、節税額は変わるんです。
鈴木:そうなんですね。
飯村(FP):たとえば、年収500万円の35歳会社員が、毎月2万3,000円ずつ積み立てたら、年間で約5万5,000円減税になります。※
鈴木:国内旅行できちゃいますね!
飯村(FP):いけますね(笑)しかも、60歳までの総額で約138万円も減税できるんです。
鈴木:世界一周のクルーズ旅行ができちゃう!
飯村(FP):すごいですよね(笑)この通り、iDeCoを利用している人と普通に税金を納めている人では、納める税額に大きな差がつくんです。
- 課税所得=年収ー給与所得控除ー社会保険料控除(年収の15%)―基礎控除。住民税10%で計算。復興特別所得税は考慮していません。
- 対談当時(平成31年2月)の税制にて試算しています。試算結果は、概算値であり、実際の金額とは異なります。今後の制度改正等で変更することがあります。
税金の負担が軽くなる理由は、3つの税制優遇があるから
鈴木:始めなきゃ損な気がしてきました。ところで先生、そもそもどうしてiDeCoは税金の負担が軽くなるんですか?
飯村(FP):それは、iDeCoを利用すると3つの税制優遇が受けられるからなんです。
鈴木:3つ?どんな税金が優遇されるんですか?
飯村(FP):ご紹介します。
所得税・住民税の負担が軽減される
飯村(FP):まず1つ目の優遇は、課税される所得が、積み立てた分だけ少なくなることです。これを所得控除といいます。
鈴木:所得税が減るということですか?
飯村(FP):はい。今納めている所得税と、住民税の負担も軽くなります。
運用益が非課税になる
飯村(FP):2つ目の優遇は、運用して得られた利益に対して税金がかからないことです。
鈴木:儲かった分が、そのまま自分の年金になるんですね。
飯村(FP):その通りです。一般的な投資信託などでは、運用益に通常20.315%の税金がかかるんですが、iDeCoなら利益の部分に税金がかかりません。
鈴木:うれしいですね!
受け取ったお金にも税金がかからない
飯村(FP):最後の優遇は、iDeCoで作った老後のためのお金を受け取るときも税金がかからないことです。iDeCoは、受け取り方を年金と一時金のいずれかから選ぶことができるのですが、どちらを選んでも一定額までなら税金がかかりません。
鈴木:ふつう、年金って税金の対象になるんですか?
飯村(FP):いわゆる一般的な企業年金や、公的年金などは雑所得として扱われるので、課税の対象になります。でもiDeCoはその点一定額まで税金がかかりません。
鈴木:すごーい。こんなに優遇されちゃっていいんでしょうか(笑)
飯村(FP):すごくいい制度ですよね。
鈴木:はい、使ってみたくなってきました。
iDeCoは、月々5,000円から手軽に始められる
鈴木:でも、先生…
飯村(FP):どうされましたか?
鈴木:iDeCoのような資産運用って、お金をたくさん持っていないとできないイメージが…
飯村(FP):ご安心ください。iDeCoは、5,000円から積み立てられます。
鈴木:それなら、始めやすそう!
飯村(FP):しかも、1,000円単位で金額を決められます。
鈴木:そんなに、細かく設定できるんですね。便利!
飯村(FP):ただし、積み立てられる上限金額は職業によって決まっています。
鈴木:職業によって?
飯村(FP):公務員は1万2,000円、会社員※や専業主婦は2万3,000円まで、自営業者は6万8,000円までが月の積み立て額の上限です。
鈴木:結構、多いですね!
飯村(FP):そうですね。特に自営業者は国民年金しかもらえないので、その分たくさん積み立てられるようになっているんです。
鈴木:私のような起業した人やフリーランスの人にとって心強い制度ですね。
飯村(FP):そうなんです。鈴木さんにも大きなメリットがあると思いますよ。
※厚生年金保険の被保険者のうち企業型年金や厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施していない、公務員・私学共済制度の加入者を除いた方
いいことづくめのiDeCo。注意点も…
鈴木:iDeCoは、とってもいい制度だとは思うんですが…
飯村(FP):何か気になりますか?
鈴木:良すぎて逆にちょっと不安になってきました…注意点などもあるんでしょうか?
飯村(FP):良いポイントですね。iDeCoにも、注意すべき点が2つあります。
鈴木:どんなところですか?
60歳まで引き出せない
飯村(FP):1つ目は、60歳までお金を引き出せないということです。年金を貯めることが目的の制度なので、原則60歳までiDeCoで貯めたお金を引き出せないんです。
鈴木:そんな… 1円も使えないなんて、けっこうドSな気が!
飯村(FP):そうですね(笑)でも、引き出せないのは浪費を避けられるというメリットでもあるんですよ。
鈴木:・・・あっ、使えないから貯めやすいってことですね!
元本割れすることもある
飯村(FP):2つ目は、元本割れのリスクがあることです。
鈴木:元本割れ?
飯村(FP):はい。iDeCoは投資信託なので積み立てたときよりも、価値が下回ってしまう可能性もあるんです。
鈴木:え~、それは怖いです。
飯村(FP):そうですよね。だからこそ、リスクを抑えられるように投資することが大切です。
鈴木:どうすればいいんですか?
飯村(FP):リスクを抑えるポイントは2つあります。
リスクを抑える2つのポイントとは?
分散投資でリスクを分散させる
飯村(FP):1つ目のポイントは、分散投資です。
鈴木:分散投資?
飯村(FP):分散投資とは、1つの商品ではなく、投資や債券などいろんな種類のものにバランスよく投資することです。
鈴木:バランスよく・・・
飯村(FP):鈴木さん、投資の世界には“卵は1つのカゴに盛るな”という言葉があるんですが、ご存知でしょうか?
鈴木:聞いたことはあります。
飯村(FP):たとえば5つの卵を1つのカゴに入れて、そのカゴを落としたら、どうなるでしょう?
鈴木:割れちゃいます。
飯村(FP):そうですね。場合によっては5個の卵が全部割れてしまうこともあります。でも別々のカゴに入れていた場合、1つのカゴを落としても?
鈴木:卵は1個しか割れません。
飯村(FP):そうですね。別々のカゴを用意している状態は、卵が割れる可能性が1つだけとも言えますよね。これを投資におきかえると?
鈴木:・・・1つの価値が下がっても、全体への影響が少なくなる!
飯村(FP):その通り! これを分散投資といいます。株式や債券など様々な商品にバランスよく投資することでリスクを抑えられるんです。
鈴木:リスクを抑えられるのは安心です。
長期投資でリスクを抑える
飯村(FP):分散投資とともに、リスクを抑えるために大切なのが長期投資です。
鈴木:長期投資? 長い期間やる方がいいんですか?
飯村(FP):その通りです。価格が変動する商品は、短期間で見ると価格の上がり下がりが大きいのですが、長く保有するほどリスクを軽減する効果があると言われているんです。
鈴木:そうなんですね。
飯村(FP):だからこそ10年、20年、30年と長い目で見守ることが大切なんです。
鈴木:なるほど。
飯村(FP):ちなみに、1995年~2015年までの20年間の運用実績を金融庁が出しているんですけど、長く運用するほどリスクを抑えられ、お金を増やせる可能性が高まります。
鈴木:ほんとだ!
飯村(FP):20年の間にリーマンショックや大規模な災害など、経済に大きな打撃を与える事柄があったのに、この結果です。長い目で見ることが大切なのがよくわかりますよね。
鈴木:そうですね。赤い線のグラフなんか、緑の定期預金よりもはるかに高い金利が付いてますね。
飯村(FP):すごい差ですよね!ちなみに、一度も元本割れしていない赤い線は、一番バランスよくいろんな商品に分散投資しているものの実績です。
鈴木:分散投資と長期投資。iDeCoを始めるなら、この2つは欠かせませんね!(ドヤッ)
飯村(FP):その通りです!(笑)では、長期投資・分散投資の重要性がわかったところで、次は実際にどんな投資配分でiDeCoを運用すればいいか考えていきましょうか?
鈴木:はい、よろしくお願いします!
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